12月20日(金)にTokyo Innovation Base(千代田区)にて、INCU Tokyo登録施設と起業家のマッチングを目的とした、INCU Tokyoとしての第2弾イベントである「Meet Up Day」を開催しました。

本レポートでは、当日のイベントの様子をご紹介します。
都施策の紹介
東京都 産業労働局 商工部 創業支援課長 三角 知恵人

東京都産業労働局創業支援課長より、「INCU Tokyo」を含む東京都の創業支援施策について紹介を行いました。まず、現在の東京都の創業支援の方向性共有として、2022年に都が掲げた「未来を切り拓く10×10×10のイノベーションビジョン」という、“グローバル”、“裾野拡大”、”官民協働”の3軸での成長を目指すスタートアップ戦略について説明を行いました。具体的には、”グローバル”において、起業時から世界を見据え、海外VC等から資金を調達して世界市場に進出するスタートアップを増やし、東京からグローバルなイノベーションを起こしていく状態を、”裾野拡大”において、自分の頭で考え、失敗を恐れず、多様性を認める学びから起業家性を育み、起業等にチャレンジしやすい社会が実現している状態を、”官民協働”においては、行政がイノベーションを生み出すスタートアップの力を取り入れ、新たな成長を呼び込むことで、スタートアップと行政がパートナーとなり未来を実現していく状態を、それぞれ5年後のビジョンとして掲げ、当該ビジョンに基づくスタートアップ戦略・施策に東京都として取り組んでいる現状をお伝えしました。
その後、イノベーションビジョンに紐づく具体的な起業家支援事業の紹介として、イベント会場としても利用した「Tokyo Innovation Base」の機能・取組や、その他の創業・起業家支援拠点である「TOKYO創業ステーション」「NEXs Tokyo」「TOKYO UPGRADE SQUARE」の概要をご説明しました。特に、「Tokyo Innovation Base」は、“世界のイノベーションの結節点へ”というコンセプトのもと、多様なプレイヤーや、東京・各地のエコシステムを繋ぐ拠点としての機能を担っており、東京都の創業支援施策の中でも拠点としての役割を果たしています。また、間接的な創業支援事業として、起業家を支援するインキュベーション施設への支援を行う「インキュベーション施設支援機能強化事業」や、都と協定を締結したアクセラレーター、VCなどの民間事業者が、それぞれの強みを活かして起業家を支援する「多様な主体によるスタートアップ支援展開事業」をご紹介し、起業家・スタートアップへの直接的な支援だけでなく、彼らを応援する立場のプレイヤーに対しても東京都として支援を行っている旨をお伝えしました。
最後には、東京都創業支援課の取組をより詳しく知れるページとして、東京都創業NETや、東京都創業支援ガイドをご紹介し、都施策の紹介を締めくくりました。
トークセッション
パネリスト 内山 英俊氏(株式会社unerry)、林 佳奈氏(シングレス株式会社)、藤田 豪氏(株式会社MTG Ventures)
モデレーター 加藤 翼氏(株式会社qutori)

トークセッションでは、「インキュベーション施設との出会い」「インキュベーション施設や支援者が起業家・スタートアップへ提供できる価値」「エコシステムプレイヤーとしてのインキュベーション施設」という3つのテーマについて、3名の登壇者に起業家・支援者それぞれの視点からお話を伺いました。
まず、「インキュベーション施設との出会い」について、内山氏は、創業から上場を果たした現在に至るまでインキュベーション施設に入居しており、入居者という形でインキュベーション施設と関わってきたご経験をご共有いただきました。次いで林氏からは、新卒でスタートアップへ入社したご経験を経て、その後起業家支援を行う立場へ移り、また出向の経験を経てインキュベーション施設との接点が生まれた、という起業家/起業家支援者双方の立場でインキュベーション施設と関わってきたご経験をご紹介いただきました。さらに藤田氏は、名古屋を拠点に26年間に渡りベンチャーキャピタリストを務め、2018年にコーポレートベンチャーキャピタルを設立する等、長年にわたり起業家支援を行ってきたご経験から、支援者側の視点を中心にお話いただきました。
また、「インキュベーション施設や支援者が起業家・スタートアップへ提供できる価値」について、内山氏からは、「独立したオフィスを設ける場合、企業の成長速度に応じて数年後の企業規模を見越し、現時点では余剰な広さのオフィスを借りる必要があるため、コスト的に無駄が生じる計算となる。そのため当社では上場した今でも、インキュベーション施設以外の選択肢は考えていない」と、事業成長に伴う柔軟なオフィス利用ができるという経済的な側面からインキュベーション施設に入居するメリットについてお話いただきました。また林氏からは、「インキュベーション施設に入居することで偶発的な出会いが生まれることがある。出会いたい人とワンステップで繋がることは難易度が高いが、イベント等を通じて出会った人に自分たちのサービスや探している人について伝えることで、間接的に繋がることができることも多くある。本当に出会いたい人に出会うための、”種まき“としての出会いも重要」と、施設を活用した偶発的な出会いの価値についてお話がありました。藤田氏からは、「立地や設備も重要だが、一番は”人”が重要。この人がいるオフィスに入りたい、という選び方をする起業家も多いのではないか」と、インキュベーション施設におけるソフト的な支援の価値についてご共有いただきました。この点について、内山氏からも、「施設を運営するマネージャーの”人格“が非常に重要。自分自身も、上場を見据えた段階で過去にお世話になった方が運営する施設へ移ることを決めた経験がある」と、共感の声が上がりました。
さらに、「エコシステムプレイヤーとしてのインキュベーション施設」について、林氏からは、「支援者は、“いかに転ばぬ先の杖を用意するか”が重要。時にはスタートアップにとって耳が痛い話をフィードバックする必要がある場面もある」というお話があり、これに続いて内山氏からは、「メンタリングを通じてスタートアップの”相談相手”を担うことがインキュベーション施設の付加価値になり、結果的にエコシステムのハブになるのが理想ではないか」というご意見が挙がりました。次いで藤田氏からは、「普段名古屋で起業家や学生等と会話する中で、この人に相談すれば会いたい人に会える、という相談相手がいることがスタートアップにとっては価値になるため、施設のマネージャーが積極的に外に出て人と繋がり、ネットワークを形成していくと東京のエコシステムとしても望ましい状態になるのではないか」というお話がありました。この点については、モデレーターの加藤氏からも、コミュニティマネージャー同士のネットワークの重要性について共感の声が挙がりました。
最後には起業家へのメッセージとして、林氏から「夢を語るのは気が引けるかもしれないが、現状より2ステップ、3ステップ上の目標を提示するからこそ、新しい出会いを呼び込んだり、支援者から手を差し伸べてもらうことができると思います。皆さん、夢を語りましょう!」という言葉、藤田氏からは「インキュベーションマネージャーをあこがれの職業にするために楽しく活動していきましょう。」というそれぞれの目線から前向きな言葉を投げかけていただきました。
リバースピッチ
登壇者 INCU Tokyoインキュベーション人材養成講座受講生7名
モデレーター 加藤 翼氏(Qutori株式会社)、和田 早矢氏(バ・アンド・コー株式会社)、張ヶ谷 未来氏(バ・アンド・コー株式会社)

9月よりINCU Tokyoで実施してきた「インキュベーション人材養成講座」の最終発表の場として、講座を受講したINCU Tokyo登録施設のインキュベーションマネージャーより、各施設の魅力や講座を通じて得た学びについて発表いただきました。人材養成講座において講師を務めた加藤氏、和田氏、張ヶ谷氏の3名がモデレーターを務め、インキュベーションマネージャーからの発表に対して講評や質問の投げかけを行いました。
ピッチの様子
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xBridge-Global NEXTHUB -
シティラボ東京 -
ベンチャーステージ上野 -
六郷BASE -
SENQ -
ビジネスエアポート -
THE E.A.S.T.日本橋一丁目
施設紹介ブース

当イベントでは、INCU Tokyo登録施設のうち16施設の施設紹介ブースを設置しました。各ブースには施設のインキュベーションマネージャーやスタッフが常駐し、来場者に対して施設の概要や魅力をご紹介しました。ブースの装飾には施設それぞれの”色”が表れており、会場に賑わいをもたらしました。
事前に参加申込いただいた起業家の方に加え、当日Tokyo Innovation Baseを一般利用していた起業家の方も各施設のブースを訪れ、パンフレット等の施設紹介資料を手に取りながら施設のマネージャーとお話をしている様子が窺えました。
交流会

プログラムの最後には、参加者同士の交流を深めることを目的に、スタンディング形式での交流会を開催しました。参加者は、インキュベーション施設運営者や、起業家、アカデミア、行政機関など多岐に渡り、テーブルに用意されたお菓子を楽しみながら、参加者間で自由に交流が行われました。
参加者の声
- 「施設の説明が一度に聞けて効率的でした。」
- 「色々な施設のインキュベーションマネージャーと繋がりができてよかったです。」
- 「リバースピッチで施設の違いがわかって大変面白かったです。」
- 「今まで知らなかったインキュベーション施設について情報を得ることが出来ました。」
INCU Tokyoでは、今後も各種イベントの開催や登録施設向けの支援を予定しております。
ご関心をお持ちの方は、ぜひ下記よりINCU Tokyo HPをご確認ください。
