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【イベントレポート】インキュベーション人材養成講座Day5《スタートアップナレッジ》を開催しました!

東京都では、より効果的な起業家支援環境の実現に向け、令和6年度よりインキュベーション施設運営事業者向けのコミュニティ「INCU Tokyo」を開始しました。
コミュニティ内の取組の一つである、インキュベーション施設内の人材育成及びネットワーキングを目的とした「インキュベーション人材養成講座」のDay5を、Deloitte Tohmatsu Innovation Parkにて開催しました。

インキュベーション人材養成講座Day5

本レポートでは、当日の様子をご紹介します。

課題の共有

講師 加藤 翼 氏(株式会社qutori)

まずは、養成講座Day5の宿題である「インキュベーターキャンバス」を参加者間で共有する時間がありました。主に3~4名のチームに分かれ、Day1~4の講座で学んだことをふまえ、各参加者が自施設の価値創出の方向性について整理したシートを見せ合いながら、ディスカッションを行う時間となりました。

講義 スタートアップナレッジ

講師 加藤 翼 氏(株式会社qutori)

加藤 翼 氏登壇(講義 スタートアップナレッジ)の様子

課題の共有後には講師の加藤氏より、“スタートアップ・起業家について理解を深める”というDay5のテーマに基づき、スタートアップと起業家の違いや、スタートアップのフェーズの考え方といったナレッジをご共有いただきました。
スタートアップのフェーズについては、下記の5段階を紹介のうえ、各フェーズの要点について併せてご説明いただきました。

  1. Customer/Problem Fit(顧客/課題適合)
  2. Problem/Solution Fit(課題/解決策適合)
  3. Solution/Product Fit(解決策/製品適合)
  4. Product/Market Fit(製品/市場適合)

講座の最後には、インキュベーション施設の利用者には急速な成長を目指すスタートアップだけでなく、緩やかな成長を目指す「ゼブラ企業」や社会起業家など、成長速度や事業フェーズが異なる多様な属性の方が含まれるため、起業家/スタートアップと一括りにせず、各入居者に寄り添い、適切な支援を実施することの必要性についてご共有いただきました。

ハラスメント対策講習

ゲスト講師 江連 千佳 氏(非営利株式会社ピロウ)、鈴木 彩衣音 氏(株式会社SISTERS

ハラスメント対策講習の様子

Day5では、ゲスト講師として江連氏、鈴木氏をお招きし、昨今起業家・スタートアップ業界にて問題視されているハラスメント対策について、特別講座を実施いただきました。
まず初めに、江連氏より、女性起業家のセクシャルハラスメント被害に関する現状やハラスメント防止に向けた啓蒙活動についてお話いただき、その後鈴木氏より、施設運営者が意識すべき「アクティブバイスタンダー」という考え方について講義を実施いただきました。

アクティブバイスタンダーについての講義の様子

「アクティブバイスタンダー」とは、ハラスメントや暴力、差別が発生した際に、傍観せず積極的に行動し、被害を軽減する第三者の役割を果たす人のことを指す言葉であり、性被害に対して加害者/被害者だけでなく第三者が積極的に介入することで、コミュニティ全体としてハラスメントを容認しないカルチャーの構築に寄与するという考え方について、実際の事例等をふまえてご紹介いただきました。

また、アクティブバイスタンダーに期待される具体的な行動例として、「関係のない話をしたり、加害者の注意をそらす」「状況や、日時、場所が特定できるよう撮影、録音、メモで証拠を残す」「被害者に『大丈夫ですか』『何かできることはありますか』と声をかける」といった対応についてもご共有いただきました。
参加者からの質疑応答の時間も設けていただき、施設運営者として意識すべき点や具体的な取組に関するアドバイスを頂戴しました。

スタートアップパネルトーク

パネリスト 犛山 創一 氏(株式会社Another works)、杉山 信弘 氏(コミューン株式会社)、美谷 広海 氏(FutuRocket株式会社

モデレーター 張ヶ谷 未来 氏(バ・アンド・コー株式会社)

スタートアップパネルトークの様子

ハラスメント対策講習の後は、スタートアップ3社をお招きし、「フェーズ別のスタートアップ・起業家ニーズをインキュベーターが学ぶ」という目的のもと、パネルトークを実施しました。モデレーターは張ヶ谷氏が務め、「インキュベーション施設への登録目的」「インキュベーション施設経由で事業成長・展開に繋がったと感じた事例」「インキュベーション施設に“あってよかった/あってほしい”と感じる仕組み」「インキュベーションマネージャーに期待していること」という5つのテーマについて、パネリストにお話を伺いました。

スタートアップパネルトークの様子

パネリストの3名からは、各社の事業特性やそれに付随するニーズ、事業フェーズ等、三者三様の目線から率直なご意見を共有いただきました。施設の立地面での利用メリットや、入居者からの様々なニーズに応える施設運営者の柔軟な対応、登壇・マッチング機会の提供など、スタートアップ目線でインキュベーション施設に求めるものについて、数々のヒントが得られる時間となりました。

交流会

交流会の様子

プログラムの最後には、参加者同士の交流を深めることを目的に、任意参加の交流会を実施しました。今回はケータリングの提供があったため、食事を楽しみつつ歓談する様子が窺えました。ゲスト講師やパネリストのスタートアップの方々へ個別質問を行う参加者や、積極的に名刺交換を行う参加者など、今後の連携等に繋がるネットワーキングのお時間として活用いただきました。

インキュベーション人材養成講座について

「インキュベーション人材養成講座」は、インキュベーション施設運営の現場に関わるマネージャー向けに、インキュベーションという全体像及び起業家・スタートアップに関する理解、コミュニティと施設運営のノウハウについて学ぶと同時に、インキュベーションマネージャー同士の相互のネットワークの構築を目指しています。
登録施設のインキュベーションマネージャーや運営スタッフを対象とし、全6回構成での開催を予定しています。

INCU Tokyoでは、今後も各種イベントの開催や登録施設向けの支援を予定しております。
インキュベーション施設運営者の方で、ご関心をお持ちの方は、ぜひ下記よりINCU Tokyoへの参加をお待ちしております。

INCU Tokyo参加方法