東京都では、より効果的な起業家支援環境の実現に向け、令和6年度よりインキュベーション施設運営事業者向けのコミュニティ「INCU Tokyo」を開始しました。
そしてこの度、これから本格始動するコミュニティ活動に向けた機運醸成を目的として、8月5日(月)にTokyo Innovation Base(千代田区)にてKick Offイベントを開催しました。
本レポートでは、当日のイベントの様子をご紹介します。
事業説明
INCU Tokyo運営事務局
事務局より、「INCU Tokyo」の概要説明をはじめ、海外のインキュベーション施設先進事例およびINCU Tokyo登録施設向けのアンケート集計結果に関する情報提供を行いました。
海外先進事例からは、コミュニティ形成や多様なプログラム提供、外部機関との連携体制構築など、登録施設の皆様に活用していただくことでインキュベーション施設の付加価値向上に繋がるようなヒントが提示されました。
また、登録施設向けアンケートは76施設からの回答が得られ、登録施設の皆様が認識している施設運営の現状や課題について回答結果をサマリとしてご報告しました。特に課題として挙げた施設が多かった項目は「広報・情報発信」「運営人材」「外部ネットワーク」の3つであり、今後INCU Tokyoを通じてこれらの課題解決に向けた支援を行っていくことを改めてお伝えしました。
トークセッション
- CIC TOKYO合同会社 加々美 綾乃 氏
- AZUL Energy株式会社(CIC TOKYO入居) 林 誠之 氏
- バ・アンド・コー株式会社 和田 早矢 氏
- モデレーター:Qutori株式会社 加藤 翼 氏
トークセッションでは、「現場の肌感で感じるスタートアップ業界の変化」「スタートアップに喜ばれる支援の形」「コミュニティがあることで生まれる価値」という3つのテーマについて、インキュベーションマネージャー、コミュニティマネージャー、インキュベーション施設の入居スタートアップ、という三者三様の視点からお話を伺いました。
「現場の肌感で感じるスタートアップ業界の変化」について、林氏からは、「従来は国内で一定程度まで事業を成長させ、その後に海外展開を行うという定番の流れがあったが、最近は国内での事業成長を待たずに海外進出を早期から見据える企業が増えたと感じる」というお話がありました。
また、「スタートアップに喜ばれる支援の形」について、加々美氏より、「スタートアップから求められる支援だけを提供することが全てではない。スタートアップ自身が自覚していないものの、今後事業成長にあたり必要となるような支援を施設側から提示していくことも重要」とのお話がありました。一方、CIC TOKYOに入居する林氏からは、「スタートアップにとって最も欲しい支援は“自分たちが正しい方向に進んでいるか”がわかること。インキュベーション施設に入居することで、この点に関する壁打ちをすることが出来、事業推進上の支えになっている」というスタートアップ目線でのコメントをいただきました。
さらに、「コミュニティがあることで生まれる価値」として、和田氏からは、コミュニティが機能することで口コミが広がり、入居者数という運営上のKPI達成に繋がりうる事例についてお話いただきました。この点については、SHIBUYA QWSの運営に携わるモデレーターの加藤氏からも、同意の声があがりました。
グループワーク
グループワークは、9月頃よりINCU Tokyoで実施予定の「インキュベーションマネージャー養成講座」に接続する内容を、プロローグ(Day0)として実施しました。
今後本格的に始まる養成講座に向けた助走として、「インキュベーションマネージャーとは」「自身が目指したいインキュベーションマネージャー像とは」というテーマについて、個人ワークとグループ内での発表を行いました。
グループワークの冒頭には、参加者間で名刺交換を行う時間を設け、施設運営者間の横のネットワーク形成にもつながる時間となりました。
交流会
プログラムの最後には、参加者同士の交流を深めることを目的に、スタンディング形式での交流会を開催しました。お菓子を楽しみながら、参加者間で自由に交流が行われました。
参加者の声
- 「自らの施設や役割を考え直す機会となった。」
- 「“インキュベーション施設”に関わる方々がこれ程集う機会はこれまでなかったと思いました。」
- 「林さんのお話が大変勉強になりました。施設運営者に対する率直な意見は中々得難いもので、学びに繋がりました。」
- 「世界のトレンド情報が聞けて良かったです。」
- 「INCU Tokyoについての概要が明確になりました。」
INCU Tokyoでは、今後も各種イベントの開催や登録施設向けの支援を予定しております。
インキュベーション施設運営者の方で、ご関心をお持ちの方は、ぜひ下記よりINCU Tokyoへの参加をお待ちしております。