Interview

正面を向く高橋氏
46

インキュベーション施設の先駆け的存在として国内外スタートアップのニーズに対応

EGG

2007年より三菱地所が運営をしてきたインキュベーション施設「EGG」は、東京駅を眼下に臨む世界有数のビジネスエリアである丸の内に位置しています。海外成長企業や国内先端スタートアップ企業を主な対象に、オフィス提供および事業開発支援を行う拠点の現状と強みについて、施設を運営する高橋氏にお話を聞きました。

プロフィール

2012年に三菱地所株式会社入社。街ブランド推進部にて新規営業部門のアシスタントを担当し、国内外のスタートアップ誘致に向けた企画営業・営業サポートを行う。2018〜2020年はxTECH運営部(旧 街ブランド推進部)にて新規営業を担当。スタートアップ向け施設の企業誘致を行ってきた。2022年から現在においてはイノベーション施設運営部(旧xTECH運営部)にて複数施設の運営と企画を担当中。

2007年にスタート。最高の立地条件と長年の施設運営の経験から提供する環境

EGGのオフィス内共用部

EGGの概要や施設としての特徴について教えてください。

EGGは、もとは2007年に開設された施設で、2022年に大幅なリニューアルとリブランディングを行いました。東京駅前、丸の内エリアに立地し、国内外のスタートアップ企業を支援する施設として展開しています。

特徴的なのは、入居企業の約8割が外資系企業であり、海外ですでに製品が完成し売上が立っている企業が日本進出の際の初拠点として利用することが多い点です。ユニコーン企業など、すでに海外では名の知られた企業も多く入居しています。

外資系企業の日本進出支援に注力するようになったことで、2013〜14年頃からは入居企業の約8割が外資系企業となりました。この実態を反映し、2022年には大規模なリニューアルとともに「EGG JAPAN」から「EGG」へとリブランディングも実施。施設の面積も拡大し、より多くの企業の受け入れが可能となりました。

どのような支援を行っていますか?

オフィス環境の提供とビジネス支援を軸としており、主に、三菱地所としての既存ネットワークを活用した入居企業への潜在顧客の紹介や、外資系企業の日本市場参入支援があります。

具体的なサービスメニューとしては、プロフェッショナルな事業支援とネットワーキング支援の2つが柱となっています。とくにネットワーキング支援では、職種別交流会(CEO限定会、広報の会、人事の会など)を定期的に開催し、施設間でのコミュニティ形成を促進しています。また、採用支援として大学生インターン募集イベントや、スタートアップ向けの各種研修(営業、マネジメント、マーケティングなど)も提供しています。

外資系企業も数多く入居する環境。ここから次へとつながる新たな一手を

EGGの個室スペース

高橋さんが三菱地所で施設運営を担当されるようになったきっかけを教えてください。

前職は金融機関でして、現在の仕事との直接的な関連性はありませんでしたが、街づくりや人との出会いを通じて日本の魅力を伝えることには以前からとても関心がありました。

ある時に丸の内エリアを通行中に見つけた街のマップに魅了され、それを制作している三菱地所による街ブランド企画部という存在を知りました。その後、転職を考えた際、ちょうど同部署の募集があり、運命的なものを感じて応募しました。入社後、スタートアップ向け施設を運営するチームに配属され、外資系企業誘致なども含めた日本の魅力発信という自身の想いにも通じる仕事に携わることになりました。

日本の魅力を伝えたいという思いの背景には、何か特別な経験がありますか?

幼少期に海外経験があり、それが日本の魅力を外国の方にも伝えたいという想いの原点になっているとも思っています。その経験を通じて得た感動や視点が、現在の仕事における動機づけの一つとなっています。

高橋さんのこれまでのEGGとの関わり方についても教えてください。

最初はアシスタントとして入社し、その後、アシスタントとして営業のサポートをする中で、ポジションチェンジの試験を受けて営業職へ転換しました。その後、育休を経て戻ってから初めて施設運営を担当することになりました。

施設運営では、お客さまとのコミュニケーションを重視しながら施設の修繕やオフィス拡張、ラボ構築といったさまざまな要望に対して迅速にお応えできるよう業務を進めています。

三菱地所ならではのナレッジやネットワークをさらに加速させていくフェーズに

EGGのキッチンスペース

丸の内エリアに位置するEGGならではの特徴や強みはありますか?

丸の内エリアには多くの大企業が入居しており、三菱地所が運営する各種プラットフォームや仕組みを通じて大企業とスタートアップとの交流機会を提供し、入居企業の潜在顧客開拓にもつながっていきます。

また、提携しているVCパートナーが開催するイベントへの登壇枠や参加枠も提供しており、立地を活かした幅広いネットワーキングの機会を創出しています。

現在の入居企業数と施設の規模について教えてください。

現在、EGGには約20社が入居しています。また、三菱地所が運営するインキュベーション施設としてはEGG以外にも複数の施設を他にも目的や領域別に専門性をもって展開しており、それらを合計すると約180社が入居しています。

施設の規模は2名用の小規模なものから、最近では50名規模の什器付きオフィススペースまで用意しています。以前は20名程度までの部屋しかありませんでしたが、一般オフィスに移行する前の中間ステージとして、より大きなスペースへのニーズが出てきたため、段階的に拡張できるフェーズを増やしています。

三菱地所が運営する他の施設との交流も盛んなのでしょうか?

スタートアップ向けの施設としては5つ運営しており、施設それぞれに特徴があり、入居いただく企業の特性に合わせて最適な施設へのマッチングを行っています。

たとえば、「EGG」と「Global Business Hub Tokyo」は国内外のスタートアップ向け(主に外資系企業)、「FINOLAB」は金融企業向け、「Inspired Lab.」はディープテックや大企業の新事業部門向け、最近できた「0 Club(ゼロクラブ)」は気候変動に向けて企業活動をするクライメイトテック企業向けとなっています。各施設の特徴に合わせて、そこに入居する企業のコミュニティを醸成し、適切なサービス支援を提供できる体制を整えています。

2007年からという、まだ日本ではスタートアップコミュニティが芽吹き始めだった頃からの長年の経験を活かした施設運営のノウハウは私たちの大きな強みです。

ただし、スタートアップの成長支援においては、これから私たちができることはさまざまな専門分野のエコシステムプレイヤーとつなげ強化することだと考えています。たとえば、FINOLABではFINOVATORSという金融のプロフェッショナル団体との連携。Inspired.Labでは共同事業者であるSAPジャパン社による事業サポートなど各分野の専門家やエコシステムプレイヤーと有機的なつながりを持ちながら、企業の成長を支援していますね。

これまでの事例から、横のつながりをどのように醸成していますか?

CEOの会、人事の会、広報の会など職種別の会を設けることで、同じポジションの方々がつながる機会を提供していることは入居者の皆さんからも好評です。

スタートアップの方々はさまざまな悩みを抱えていますが、同じ立場の人と出会うことで共通の課題に対して一緒に解決策を見出したり、相互に紹介し合ったりする関係が生まれてくるからです。

また、セキュリティなど、より特定分野での横のつながりを求める声もあり、施設内で賛同者を集めて意見交換会を実施するなど事業成長につながるような取り組みを行っています。

大丸有エリアを担う三菱地所が長年運営してきたインキュベーション施設ということで、関係する企業からの期待も高そうな場ですね。

丸の内の中心という立地に、領域特化型の施設を次々と作り上げて来たことにより、ここに集まっていた国内外の企業とともにスタートアップエコシステムのプレイヤーとしての連携が増えてきました。

また、何かと困った時の相談先やサポート体制が充実しているのも強みです。そして、EGGでは何よりもリラックスしながら仕事ができる空間作りを意識しており、「家にいるよりも快適に仕事ができる環境」をめざしています。

たとえば、施設のリノベーション後はすべての部屋に一部ガラス窓を設置し、自然光が入る明るい環境を提供できるようになりました。また、東京駅や行幸通り、皇居などの景色をすべての利用者が楽しめるレイアウトになっています。とくに、東京駅を見下ろせる場所では会話が盛り上がりやすく、展望台のような価値も備えています。さらに、イギリスのデザイン会社、March &Whiteが設計を手がけ、高級感のある居住空間のような雰囲気を実現しています。

入居審査の基準について教えてください。

一定の審査基準を設けて入居いただいていますが、その中で必ずしもEGGが最適とは限らない場合もあり、その際はより適した施設をご紹介することもあります。また、海外企業が増えている現状ではありますが、もちろん国内のスタートアップがご入居いただくことも可能です。

施設運営チームでは、入居企業の方々とのコミュニケーションはどのように取られていますか?

現在は、私を含む計6名体制で運営しています。入居者とのコミュニケーションについては、意識的に共用ラウンジに滞在し、日常的な声掛けを行っています。

また、「1 Day 1 Drink」というサービスを実施しており、毎日決まった時間に無料でドリンクを提供し、コミュニケーションを図るという取り組みを行なっています。さらに、定例イベントとして「Meet Up」と「Tea Time」を開催。Meet Upでは毎回テーマを設け、併設カフェの食事を楽しみながら企業間交流を促進し、Tea Timeでは午後3時頃に軽食を用意して短時間の交流の場を設けています。運営スタッフもこれらのイベントに参加し、入居者との情報交換や関係構築を行っていますね。

今後も、いつでもまたここで働きたいと思っていただけるワークプレイスに

EGGのラウンジ

これまでの運営で印象に残っているエピソードはありますか?

スタートアップを対象とした施設ということで、入居企業の中でも人の入れ替わりも多く経験してきました。しかし、とくに印象深いのは、ある企業を退職された方が別の企業に移られた後も、新しいオフィスを探す際に再度お問い合わせいただけるケースがあったことでした。

これまでに何件かそういった機会があり、私たちが提供するサービスへの自信にもつながっています。国内外問わず、再び利用したいと思っていただける場所として認識されているのは嬉しい点です。

INCU Tokyoに関心を持った理由と、今後の展望について教えてください。

これまで、三菱地所の社内で、施設のあるべき姿を議論・模索してきましたが、同様の施設を運営されている方々がどのような想いで運営し、どういった課題に直面しているのかを知りたいと考えています。

多くの施設運営の方が似たような悩みを抱えていると思うので、 他の施設を運営している方々、とくにトップの方だけでなく同じような立場の実務者の方々とのつながりや交流の機会があればいいなと思っています。そういった方々との交流機会をこのコミュニティには期待しています。

また、基礎講座も受講できると聞いているので、これまでの自身の経験を振り返りながら今後の施設運営のブラッシュアップや底上げにつながればと期待しています。

記載内容は2024年10月時点のものです。

インキュベーション・
コミュニティ
「INCU Tokyo」へ参加する

募集概要を確認のうえ、
下記から申し込みください。