Interview

「暮らしながら働く」を実現するSENQ目黒。オフィス街拠点との併用でさらに便利に
2021年11月、SENQ目黒は「暮らしながら働く」というコンセプトを軸に、新しいワークスタイルを実現する場として誕生しました。リモートワークを支える設備や、創業支援の取り組みが特徴で、利用者同士の交流も活発。伴走支援に携わる想いとともにSENQ目黒の魅力をインキュベーションマネージャーの椿 卓也氏が紹介します。
プロフィール
事業会社の建築コンサルティング部門での商品企画を経て、シェアオフィス運営会社にて新規拠点の開発・運営に従事。2024年より中央日本土地建物株式会社にて、SENQ新規拠点や再開発ビル内の共有ラウンジ・会議室の企画開発、会員インキュベーションなどの業務を担う。
「暮らしながら働く」──目黒拠点が生み出す新しいワークスタイル

SENQ目黒の施設の概要について教えてください。
SENQは都内で6拠点を運営しており、京橋、霞が関、青山、六本木、青山並木通り、そして目黒があります。各施設にはテーマがあり、目黒はライフスタイルオフィスをコンセプトに、住宅街に近いエリアで、暮らしながら働ける空間を提供しています。特徴として1人用完全個室のソロブースを26室設置しており、1名での利用も多い施設となっています。創業者や個人事業主の利用が比較的多く、コワーキングやソロブース会員の割合が高いことが特徴です。
施設は2021年11月1日からスタートしました。コロナ禍の影響もあり、利用者には家と会社の間の場所として使用される方も多く、リモートワークを主とする会員が多いのが特徴です。
創業支援の面ではどのような取り組みをされていますか?
オフィスに常駐するアライアンスコーディネーターを通じて、企業や自治体との連携を重視しています。SENQ全体で提携している自治体や企業があり、会員からの要望に応じて紹介やマッチングを行っています。また、施設の内装デザインは落ち着いた雰囲気の中で業務ができるように配慮し多くの緑を配置。快適な仕事環境を提供しています。利用形態も柔軟で、1名での利用から7名程度の企業まで対応可能で、会員の方だけでなく、ドロップインでの利用もできる開放的な雰囲気もあります。
空間デザインへのこだわりがあるんですね。
自宅のようにリラックスできる空間設計が特徴で、3つのエリアに分かれています。ソファや形の違うスツールを配置したリビングのようなラウンジスペース、檜材を用いたフローリングの小上がりに大きなテーブルがあるダイニングスペース、窓越しに作業に打ち込める集中スペースです。利用者は、その日の目的に応じて、集中作業、Web会議、食事やコーヒーブレイクなどの用途に合わせて場所を使い分けることができます。
利用時間や受付体制についても教えてください。
個室・ソロブースのオフィスは24時間利用可能で、共有ワーキングスペースは平日9時から22時まで利用できます。受付には常駐スタッフがおり、20時まで対応しています。とくに目黒のレセプションスタッフは会員の方々からも高い評価をいただいていて、施設運営面での細かな配慮や、利用者への提案なども行っています。SENQ目黒は稼働率も高く、利用者も多くなってきている状況です。
SENQの会員は、目黒以外の拠点も利用することができます。たとえば、お取引先の近くにある拠点を会議室や一時的な作業場所として使用するなど、都内6拠点のネットワークを活用した働き方が可能です。コロナ禍以降、こうした柔軟な働き方へのニーズは高まっているのを感じますね。
建築からシェアオフィスへ──伴走の視点で描く新たな空間づくりに携わる想い

インキュベーションマネージャーである椿さんご自身のこれまでのキャリアと、現職に就いたきっかけを教えてください。
2021年からシェアオフィス関連の開発・運営に携わり、個室タイプのオフィス開発やコロナ禍でのホテルのオフィス転換、ベンチャーキャピタル向け施設の開発などを手がけてきました。さらにそれ以前は事業会社の建築コンサルティング部門で住宅関係の企画業務に長く従事し、住宅企画なども担当していました。
施設を利用していただく会員の方々にさらに寄り添い、入居されている起業家の方々の事業を伸ばしていくような支援ができれば、という想いから現職への転職に至りました。また、前職時代からSENQには関わっていたため、理念や業務内容は理解していたんです。SENQという場ならではの意義や課題をより深めていく形で働きたいと思っていたことが大きなきっかけですね。
SENQ目黒での椿さんはどのように動いていますか?
インキュベーション担当として活動しています。とくに力を入れているのは、入居者さま同士の協業促進。ワーカー同士、テナント同士のオープンイノベーションの機会を創出することです。
会員へのヒアリングやコミュニティイベントを定期的に開催し、施設へのフィードバックを得ることで、より良いサービスの提供をめざしています。単に場所を提供するだけでなく、会員同士のつながりを生み出し、事業成長のきっかけを作ることにやりがいを感じています。
椿さんは目黒以外の他拠点とのネットワークも網羅的に担当されているのですか?
そうですね。とくに、全6拠点での交流を生み出す施策を実施することで、より広い視野でのビジネス支援が可能になっていると感じています。
これまでの建築コンサルティングやシェアオフィス運営の経験を活かしながら、より実践的な形で創業支援に携わることができる現在の仕事に、大きな充実感を覚えています。現在は新規拠点として2025年に開業予定のSENQ淀屋橋とSENQ田町の開発を並行して担当しています。とくにSENQ淀屋橋は関西エリア初の拠点となります。どちらも再開発ビルの一部フロアに専属施設を設けることになり、SENQエリアのほか、ビルテナント専用のラウンジも併設される予定です。ビル共用のラウンジはテナント企業も利用可能なため、SENQ会員同士だけではなくオフィスフロアの企業との交流の機会がよりいっそう増えると考えています。SENQ目黒のコンセプトとはまた異なるものなので、SENQ目黒の入居企業の皆さんにもぜひ併用して活用いただけたらと思っています。
入居者の声を活かす──ヒアリングが生む新たな価値

入居者へのヒアリングやコミュニケーションはどのように行っていますか?
入居会員さまへのヒアリングは、年に数回実施することが多いですね。対面のほかオンラインでも開催しています。
入居されている皆さんからは、より実践的なサポートを求める声が大きくなっていることを感じますし、運営側からも単なる情報提供だけでなく、実際の会社の経営や運営に関する具体的なヘルプのニーズにもっと応えていきたいです。新しい事業企画についての相談や壁打ちの機会も多くありますが、とくに補助金や経理関連の実務的なサポートへのニーズが高く、リアルな場での相談機会を望む声の高まりを感じていますね。また、地方での事業展開に関する支援も重要なテーマとなっています。
SENQでのイベントは、各拠点独自の周年イベントや、全体イベントなども開催しており、目黒拠点の会員は比較的イベントへの参加を多くいただいていることも特徴です。
起業家のニーズや課題について、どのように対応されていますか?
今後は運営側の体制を整え、より良い解決策を即座に提供できるようにしていきたいと考えています。また、先ほどお話しした、今後新しく始まるSENQ淀屋橋・SENQ田町に関しても、SENQが入っているビル全体で、SENQ以外のテナントも巻き込みながら課題を解決できる体制づくりや、より包括的なサポート体制の構築をめざしています。
これまでに印象に残っているイベントや、会員同士の接点を作ることに成功した事例などがあれば教えてください。
民間企業もですが、自治体との取り組みも強化していて、札幌市や新潟県などさまざまな地域と連携し、共同でイベントを開催するなどの取り組みを行っています。
たとえば札幌市・新潟県との共催イベントでは、地方での2拠点活動を実践している方をお招きし、メリット・デメリットについて具体的な経験談を共有いただきました。また、札幌市に会社を構えている企業の方とのトークセッションなども開催し、特産品を交えた気軽な交流会も実施しています。このように、きっかけは何でもよいのですが、会員同士が自然に交流できる機会を大切にしています。
また、これは施設内でのちょっとした活動ですが、他拠点のSENQ会員さまでフィットネス講師をされている方がおり、その方を中心にフィットネスイベントを開催したところ好評で、他の拠点でも開催されるようになりました。SENQ目黒でも20名程度が集まり開催しています。業務後を想定した夕方から夜にかけての時間に開催し、身体を動かした後にはプロテインで乾杯、ヘルシーなケータリングを皆で食べるという流れになっていて好評を得ています。器具が必要ないようなトレーニングメニューを考えていただき、体を動かすことでコミュニケーションも促進されていていいですね。
より実践的なサポートと拠点を超えたつながり──ビジネスを加速させる交流の場づくり

創業支援に求められているフェーズやあり方の変化、これからの展望についてどのようにお考えですか?
SENQは現在、どこも既存拠点は稼働率が高く利用者も増加傾向にあるため、先ほどもお話ししたように今後は経理処理や法務関係などのバックオフィス支援の強化を考えています。また、引き続き、定期的なイベントとして入居企業同士の連携促進の交流会や自治体との接点を持つ機会、企業の新規事業開発担当者との交流機会なども随時開催していきたいと考えています。
どのような企業や利用者にとくに使ってほしいと考えていますか?
SENQ目黒は主にビジネス街以外の拠点として、暮らしながら働くというワークスタイルを重視している会員の利用を想定しています。実際の入居者層としては、Web関係や人材関係の企業さまが多く、比較的カジュアルな雰囲気で働く方々が中心となっています。施設は個人会員でも法人会員でも他拠点のSENQを利用可能なので、目黒の会員は霞が関や京橋など他の拠点も頻繁に利用しています。これにより、取引先との打ち合わせなど、目的に応じて拠点を使い分けることができます。
インキュベーション・コミュニティ「INCU Tokyo」との連携について、今後どのようなことを実現したいですか?
今後はINCU Tokyoに登録している、SENQ以外の施設との共同イベントの開催を検討していきたいです。各施設の特徴やPRの機会を作ることで、施設間の相互理解と連携を深めていけたらいいですね。INCU Tokyoのような取り組みを通じて、より充実し、何よりも即座に起業家の方々の力になれるサポート体制を築いていくことをめざしていきます。
記載内容は2025年1月時点のものです。
インキュベーション・
コミュニティ
「INCU Tokyo」へ参加する
募集概要を確認のうえ、
下記から申し込みください。
