Interview

正面を向いている片桐氏
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会社や事業の成長がすべてではない。気軽に一歩を踏み出すための後押しを

西新宿アントレサロン

自分のペースでセカンドライフを充実させるための「ゆる起業🄬」を推奨している西新宿アントレサロンの片桐 実央氏。自身の起業経験から、互いに支え合える仲間の大切さを感じてインキュベーション施設を始めた片桐氏に、起業の経緯や起業家への想いを聞きました。

プロフィール

行政書士、1級FP技能士、インキュベーションマネージャー。
大学卒業後、大手日用品メーカーに入社し、法律の専門家としてアドバイス。
その後、証券会社に入社し上場支援を経験した後、2008年7月銀座セカンドライフを設立。
レンタルオフィス運営のほか、起業相談、事務サポート、講演などを行う。

ワンストップの起業支援で経営に必要な情報を提供する

西新宿アントレサロンの正面入り口の様子

西新宿アントレサロンの特徴を教えてください。

西新宿駅から徒歩30秒の新宿アイランドタワー内にあり、周辺には飲食店や銀行などさまざまな施設があります。1〜2人用の小規模な個室もありますが、バーチャルオフィスとフリーデスクがメインです。入居者は、前職の経験を活かしてセカンドライフを充実させるために起業された方が多くいます。

アントレサロンは現在、東京都、神奈川県、埼玉県に13拠点を展開しています。全施設が駅から徒歩5分以内にあり、会員様はどの施設でもご利用いただけます。また、法人登記が可能で、法人登記をしても月額料金が変わらない点も特徴です。

起業家を支援するにあたり、どのような特徴や強みがありますか?

ワンストップでの起業支援をめざしています。会員様はシニア世代の起業家が多いため、本業については経験豊富です。そのため、企業運営に必要となる周辺的なアドバイスをしています。たとえば、事業計画の作成支援や公的支援に関する情報発信はもちろん、さまざまな専門企業と連携しているため、保険、会計ソフト、印鑑や名刺作成、PR用の動画撮影などが必要になった際に紹介が可能です。インキュベーションマネージャーは、会員様に喜んでいただけるサービスを常に探していますので、ご紹介先はさらに増えていく予定です。

そのほか、セミナーと交流会を定期的に開催しています。セミナーは月に6〜7回、交流会は毎月3回実施していて、会員様以外に一般の方も参加可能です。私自身、起業した時に交流会を通して多くの方と出会えたことに価値があったと実感しているため、会員様に限らず参加できる交流会を大切にしています。

いきいきとセカンドライフを過ごす支援をしたい。祖母への想いが起業のきっかけ

片桐氏がセミナーで話す様子

片桐さんのこれまでのキャリアについて教えてください。

大学卒業後は大手日用品メーカーに入社し、法務部で契約書のチェックやビジネス面での法的リスクの確認などを行っていました。その後、証券会社に転職。上場に向けた引受審査を担当しました。

法務部から証券会社への転職は、どのような理由があったのでしょうか?

将来の起業を見据えてのことです。日用品メーカーに勤めていた時は、ずっとこの会社で働いていくのだろうと思っていたんです。でも、祖母が介護施設に入居したことをきっかけに、起業を考えるようになりました。

介護施設への入居は、祖母の希望ではありませんでした。お世話になった祖母が望んでいない選択をしてしまったことを、私はずっと後悔していて……。その後悔を打ち消すために何かできることはないかと模索し、いきいきとセカンドライフを過ごすための支援をしたいと思い至りました。

法務部では主にリスク回避の視点からビジネスを見ることが多かったのですが、起業するためにはもっと広い視野でビジネスを学ぶ必要があると考え、会計の知識も身につけられる証券会社に転職しました。

2008年に起業されますが、当初からインキュベーション施設を作ろうと考えていたのですか?

もともとは、行政書士とファイナンシャル・プランナーの資格を活かした起業支援を考えていました。ただ、当時インキュベーション施設に入居して起業準備をしていたのですが、他の入居者との交流が精神的に大きな支えになって。

たとえば、取引先との商談から帰ってきて「あの進め方で良かったのだろうか」と不安になっている時、同じような不安を抱えながらも頑張っている仲間の姿を見て、「私も頑張ろう!」と思えたんです。

その経験から、私もインキュベーション施設の運営をしようと決意しました。

ライフワークとして自分の人生を充実させるための「ゆる起業🄬」

片桐氏がセミナーで話す様子

起業家を支援する際に心がけていることは何ですか?

ご自身で決断できるように最適な情報を提供することです。どうするか決めなければならない時に、決断するための情報が足りていないことも多いので、選択肢ごとのメリット、デメリット、リスクなどを説明し、自分自身で判断できるようにサポートしています。

経営者はすべての決断を自分でしなければいけません。もちろん、「起業しない」という選択もありだと思います。私の意見を押し付けるのではなく、判断材料を提供することを心がけています。

私たちは「ゆる起業🄬」をキーワードに、自分のやりたいことを実現する応援をしています。

「ゆる起業🄬」ですか?

そうです。会社や事業を成長させることだけに集中するのではなく、自分のペースでセカンドライフを充実させるための起業という意味合いです。

真面目で慎重なタイプの方は、起業するための事業計画書を作り込みすぎたり、不安要素を解消することに時間をかけすぎたりする傾向があります。でも、机に向かって考えを巡らせているより、外に出てお客様の声を聞いたり、他の起業家と話をしたりすることでヒントを得られることはたくさんあります。

「ゆる起業🄬」というキーワードを提案しながら、気軽に一歩を踏み出せるような後押しをしています。

多くの起業家に関わる中で感じるやりがいを教えてください。

起業家の変化を見られることですね。最初の面談時は不安を抱えて暗い表情の方が多いのですが、支援を通じて明るく前向きに変化していく姿を見られることがうれしいです。不安や悩みが解消され、「この仕事で頑張っていくぞ」とスッキリした表情になる様子が見たくて、この仕事をしています。

大規模な事業展開や急成長はなくても、その方にとってのライフワークとして長く続けられるような支援をしていきたいですね。

会社員が当たり前に起業できる世の中を作りたい

セミナーの参加者が交流する様子

起業家の方に、西新宿アントレサロンをどう使ってほしいと考えていますか?

私たちは、ゼロからイチを作り出す段階のお手伝いが得意です。ですので、起業を検討している段階からセミナーなどに参加して情報収集していただきたいですね。その後、事業の成長や働き方に応じて、月単位でバーチャルオフィスやフリーデスクへのプラン変更もできますので、状況に合わせてご利用いただけます。

インキュベーション施設を通して実現したいことを教えてください。

会社員が当たり前に起業できる世の中を作りたいと考えています。私が起業したころは、会社に勤めている身で「起業したい」と言うことは難しかったですし、情報収集することも大変でした。

INCU Tokyoに期待していることは何ですか?

他のインキュベーション施設とのつながりを持ちたいと思っています。それぞれの施設で特徴があるので、相談に来た起業家の方に適切な施設を紹介することもできると思いますし、事業計画の作り方などのノウハウや、起業家のサポートをしている企業のネットワークなどを共有することで、より幅広く起業家支援ができるようになると考えています。

記載内容は2024年9月時点のものです。

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