Interview

品川×交流=SHIP!「つなぐ力でWin-Winの価値創造」で、挑戦する起業家を応援します
品川産業支援交流施設「SHIP」を運営する一般財団法人 品川ビジネスクラブの助川 知裕氏。公務員として防災課や消費者センターなど、数々の経験を積み重ねて、現在は起業家支援に取り組んでいます。「失敗を失敗と思わずチャレンジするスタートアップの理念に共感する」。そう語る彼に、施設運営への情熱や地域活性化に向けた活動について聞きました。
プロフィール
不動産営業、求人広告代理店を経て品川区の職員に。清掃、消費者センター、防災、マイナンバーカードの部署を経て、一般財団法人 品川ビジネスクラブへ。趣味は、サッカー観戦(とくにプレミアリーグ)と散歩と料理。得意料理はピーマンの肉詰めとキーマカレー。いつの日かSHIPのカフェスペースで、自炊した料理を振舞いたい。
起業初期からIPOまで。多数の相談窓口やイベント、充実した施設で起業家を支援

まずは施設の概要について教えてください。
私たちが運営する品川産業支援交流施設(以下、SHIP)は、大崎駅から徒歩8分の場所にある2フロア構成の施設です。3階は460名収容のイベントホール、4階はコワーキングスペース、工房、オフィス、貸し会議室、多目的ルームを備えています。
個人会員は16,500円(税込)から登記することができ、住所利用も可能です。郵便ポストやWi-Fi環境などが揃っているため、起業を始めるのにピッタリの施設です。オフィスは月額94,600円(税込)~30万円程度までラインナップしており、起業初期からIPOをめざす段階まで、成長に応じたトータルサポートを提供しています。
SHIPは「五反田バレー」と呼ばれる、スタートアップ企業が集積している五反田・大崎エリアに近いことからIT事業者が多い傾向にありますが、品川区はものづくりが盛んな地域であり、多種多様な業種の幅広い年齢の方々が利用しているのも特長のひとつです。
SHIPの特徴や強みはどんな点でしょうか。
大きく3つあります。1つめは、困ったときにさまざまな無料相談窓口を利用できることです。SHIPには中小企業診断士の資格を持つインキュベーションマネージャーが常駐しているほか、弁護士や税理士、社会保険労務士、行政書士などの専門家が定期的に来所し、無料相談を実施しています。資金繰りや人材マッチングなどさまざまなお困り事に対応できるのが大きな特徴です。
2つめは、交流を積極的に行っていることです。SHIPの正式名称「品川産業支援“交流”施設」にもある通り、交流を大事にしています。毎年2回の大交流会や、毎月行っている小規模の交流会、また不定期にアルコール解禁DAYを設けて、飲んでも飲まなくてもOKの気軽に集まる会などを催しています。また、SHIPにはコミュニティマネージャーと呼ばれる、いわゆる「こんな人いないかな?」という人と「自分、こういうことできます!」という人とをつなぐ役割の方も在籍しています。
そして3つめは、工房を活用した地域連携の取り組みを行っていることです。品川区は、ものづくりを重要な産業として位置づけているため、4Fの工房には複数の3Dプリンターやレーザー加工機、切削加工機を設置。指導員も常駐し、利用者への技術的なサポートを提供しています。
イベントとして「3Dプリント自助具デザインコンテスト」も開催しました。障がいや病気などによって困難になった動作を補助するための道具や装置を「自助具」と言いますが、3Dプリンターで自助具を製作。その出来栄えについてコンテストを行いました。また、大崎図書館とコラボして夏休みの宿題支援も実施しました。
風通しの良い環境にすべく、潤滑油として会員さんやスタッフと積極的にコミュニケーションを図ります!

これまでの経歴について教えてください。
大学卒業後、大手不動産仲介会社に入社しました。当時は「3年以内は一人前ではない」といった風潮がある中で挫折を経験し、入社1年未満で心身ともに疲弊してしまい退職。私と同じように仕事で困っている人を助けたいという気持ちから、求人広告の仕事に興味を持ち、ベンチャーの広告代理店に転職しました。
そこで5年ほど勤めたのですが、リーマンショックの影響で会社の状況が厳しくなったことから退職し、品川区役所で勤務することに。リサイクルや消費者センター、防災課などさまざまな部署を経験し、2024年4月からSHIPを運営する品川ビジネスクラブに異動になり、現在は施設運営に取り組んでいます。
区役所でのお仕事とインキュベーション施設運営はまったく異なる仕事だと思います。運営に携わってどんな印象を持ちましたか?
公務員の世界ではよくあることですが、まったく異なる部署への異動がよくあります。私は、昨年まで10人のメンバーがいる大所帯の、いわゆる窓口を担当する部署にいました。対応する方は年齢層も広く、時に怒られたり、粘り強い対応が必要なお客さまもいらっしゃいました。
2024年4月に異動してSHIPに来たのですが、これまでの業務とはまったく異なり、起業家の方たちの意欲や熱量に感銘を受けました。自分より一回りも二回りも若い方が、世の中を変えようと情熱を持って突き進んでいるんです。せっかくそんな気概のある方たちと接することができるのですから、「失敗を失敗と思わない」精神で積極的にコミュニケーションをとったりイベントを企画したりすることで、SHIPの風通しを良くしたいです。そして、会員の皆さまやスタッフなど、SHIPに関与するすべての方が「SHIPって良いよね!」と思ってもらえるような施設にしていきたいです。
起業家とともに歩む日々。SHIPで描く品川活性化のビジョン

これまでSHIPで支援された中で、とくに印象に残っている事例を教えてください。
従業員2人でスタートした、あるIT企業が印象深いですね。月額16,500円のオフィスからスタートし、そこからSHIPの一番大きな部屋へ移動。5年の入居期間を経て、より大きなオフィスビルの最上階に移転していきました。
そしてもうひとつ、SHIPで開催したM&A講座がきっかけとなり、参加者同士でM&Aが実現した事例があります。被買収側の企業からは「社員が守れて良かった」と喜びの声をいただきました。どんな形が正解なのかはケースバイケースですが、セミナーやイベントをきっかけに思わぬ展開につながるとうれしいですね。
起業家の方とやりとりする上で、心がけていることはありますか?
フラットに相手の話を聞くことを心がけています。入居企業だけでなく、中小企業診断士の方やイベントスタッフ、受付スタッフなど施設に関わるすべての人の声に耳を傾け、さまざまな相談にも柔軟に対応することでより良いサービスを提供できるようにしています。
また、当施設は区立の施設であり、単なるコワーキングスペースにとどまってはいけないという使命感があります。品川区の中小企業の活性化など、品川区民へ還元するためにどうすれば良いのかを心がけています。そのためには、交流やマッチングが非常に重要です。しかし、会員全員のコミュニケーション能力が高いわけではありません。中々踏み出せない方には参加を後押しするなど、施設での交流に参加できるよう工夫しています。会員の気持ちが折れないようサポートすることを重視していますね。
品川の未来を切り拓く──挑戦する起業家たちのプラットフォームに

「INCU Tokyo」に入った理由を教えてください。
SHIPをもっと良くしたいと思って加入しました。施設のスタッフ全員のレベルアップも図れますし、他の施設の良いところをどんどん吸収したいと思い、「INCU Tokyo」への参加を決めました。
実際にインキュベーションコミュニティが持つ人材ネットワークを活用して、たとえば大田区の「六郷BASE」や東急不動産が運営している「ビジネスエアポート」など、近隣の区の施設や民間施設との情報交換も積極的に行っています。そして、その知見をスタッフみんなで共有することで施設運営の改善に活かしています。
今後、SHIPにはどんな起業家の方に入ってほしいですか?
一言で表すと、楽しそうに仕事をしている人ですね。SHIPは入居にあたって制限が少なく、法人登記さえすれば基本的に誰でも入居可能です。ただし「会社を起こしたけれど、もう成長しません」という姿勢の人はウェルカムではありません。むしろ、起業してここで大きく成長し、卒業後もSHIPや品川に愛着を持ち続けてくれるような方に入居していただきたいと考えています。
SHIPを通してどんなことを実現したいですか?
企業支援を通じて品川の活性を実現したいですね。
私自身が大切にしているのは「失敗は失敗ではない」、「やりたいことをやってみる。ダメなら軌道修正する」というスタンスです。公務員というと、慎重に対応してフットワークがあまり軽くないイメージがあるかもしれませんが、自主的、自発的、能動的に仕事することを大切にし、他のメンバーにもそのように仕事をしてほしいと考えています。
敬意を持って接し、起業家の方の勇気や熱量、努力を後押しできるよう施設スタッフ一同で取り組んでいきたいです。
記載内容は2024年12月時点のものです。
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